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2009.06.17

20. 質問にお答えして

最後に更新して以来、何通もの、本来お答えすべきメールをいただいているのですが、それについては次回更新ということにさせてください。サボっていて申し訳ありません。去年の佐藤は死んでいた、ということにしてください。

で、今回の文句再開の理由は、例の拉致監禁強姦ゲームについてのメールをいただいたからです。

差出人:ワタナベ
件名: 規制問題について、文句ではなく質問です
日時: 17 juin 2009 09:34:30 HNJ
宛先: monk@zag.att.ne.jp
ワタナベといいます。最新の日記で虐殺ゲームと陵辱ゲームの違いについて触れらている点について質問です。
GTAのごたるゲームを作り、強制イベントではないにせよ、
やろうと思えば電車に入って拉致監禁強姦妊娠ゲームもできる、というエロゲー機能を持った
虐殺ゲームは、大蟻食様的には許せますか。
拉致監禁強姦妊娠という表現それ自体ではなく、表現の「され方」が重要なのであれば、
一見全く別のシリアスなゲームを装って、プレイヤーの選択によっては陵辱ゲームとして
楽しめるような「エロゲー」は規制の対象にならない。
大蟻食様はポスタル2のような「手段」を用いれば、陵辱も表現として許し得ると書きます。
しかし、国や法はそれを許さない気がします。国や法は今後、表現の作法などではなく、表現それ自体を
徹底的に弾圧しようとすることが予想されるからです。
そうなったとき、大蟻食様に「重要なのは作法だ」と虐殺×陵辱ゲームを擁護してしまうのでしょうか?
仮にGTA級のクオリティを持ったゲームが、プラスαで強姦妊娠イベントも楽しめる場合、
大蟻食様はそれを擁護するのでしょうか?
そうしたゲームが強姦妊娠イベントのみをマイナーチェンジで新作へと置き換えて、
エロゲー業界共通の「オブラート」として便宜的に虐殺ゲームが用いられた場合、
それは大蟻食様的には許せますか?
更には虐殺に限らず、もっとより穏当で、隠蔽力をもった、シリアスな「オブラート」の
誕生も考えられます。
拉致強姦妊娠もやりようによってはOK、では規制派の自分としては少し不安なのですが。


日記でお答え頂けると嬉しいです。

返答させていただきたい問題は二点です。

まず第一。

国や法は今後、表現の作法などではなく、表現それ自体を 徹底的に弾圧しようとすることが予想されるからです。

これは、今回の問題において多くの人が懸念している問題だと思います。拉致監禁強姦ゲームに対して厳しい見解を持つ人でも、この一点において規制に反対という人が殆どであるようです。で、こちらの回答はですね、

社民党じゃあるまいし、いつか来た道、みたいなこと言ってる奴は糞の役にも立たん。

ということになります。自衛隊の海外派兵だの何だのに関して「いつか来た道」とか言ってる奴は、実際、糞の役にも立たない——この国が何やら空恐ろしい状況に陥りつつあるとしても、それは一度も来たことのない道であり、だからこそ怖い訳です。ミュンヘン会談を忘れるな、というスローガンが、政治的選択においてどれほどの間違いを引き起してきたかを考えたら(これをやるのは専らアメリカですが)、いつか来た道、は、政治を考える上での禁句にした方がいいと思っています。歴史は、ヘンリー・キッシンジャーに言わせれば、事例でしかありません。研究には値しますが、そのままの形でもう一度来ることはない。

今回の「お上」の規制の、もっと当り前の、全く単純な、大して面白くもなければ遠大でもない理由に誰も触れないのが、私は不思議で仕方がありません。即ち、輸出産業としての「二次元」のクリーンアップであり、児童ポルノの規制も理由はそれだろうと。中国がパチ物を規制しはじめたのと全く同じ理由、と言ってもいい。この国だろうとどこだろうと、何かの政策が採られる時、最初に疑うべきは経済的な理由です。表現全体を規制するつもりだ、と言うなら、それによってどの経済部門がどのように得をするのか、という説明ができないと、説得力は皆無です。

表現規制なんてね、大方の人は、自由を求める戦いによって撤廃を勝ち取ってきたとか教えられているかも知れないけど、実際には金ばっかり掛かって効果が全然ないので、反対の声が上がるのを好機に「お上」が恩着せがましくやめてやった、というのが実態です。血道を上げて裏の裏まで洗い始めると国が潰れる。これもまた経済的な理由です。国家が無限の権力と無限の経済力で我々を圧迫してくる、とかいうのは、ヒッピー流のパラノイア的妄想です。

それでも「いつか来た道」が心配な方、もしそうなら尚更、我々は地下で生き延び活動するテクニックを身に付けておかなかればならない。地下が普通にある生活に馴染んでおかなければならない。

それから次、GTA問題ね。GTAの場合、裏は MODという形で存在します。自動車や武器のカスタマイズといったものから始まって、確かハードコアな性交場面が見られる、というものの噂も聞いたことがあります。大抵は自主制作自主配布です。

で、こうしたものは全くの私的な領域に属するものである訳です。入れたい奴が自分のリスクで入れるものです。ゲームメーカー自体は、そんなの知りません、と言うでしょう。故に完全に私的な領域の話なので、これまた私が口を出すことではありません。

そして仮に凌辱ゲームのメーカーが生き残りに危機を感じ、どこかから拡大公開系超大作級の予算を調達してきてGTA級のゲームを作るとしたら——或いは、まあそれは無理でしょうから、そこそこの予算で、結構面白いゲームを製作するとしたら、その時には既に普通のゲームメーカーになっている訳です。故に、別段凌辱でビジネスを危機にさらす必要もない。本体部分に努力を傾注する方が得策でしょう。もしかすると、創業当初の志を忘れないために裏で仕込んでいる、とかいうことは充分あるでしょうが(チートコード入れると凌辱モードが選択できるようになる、とか——MGS4とかもそうやっていたら、本体はもっとすっきり面白く仕上がっていただろう)、ゲーム本体に充分な価値があるなら、誰も凌辱ゲームとは言いません。凌辱部分はあくまで裏の、私的なものです(尤も、本体に組み込まれていたとなると色々言われるでしょうが)。でかい声で言わないように。面白いゲームがたかが付録で問題にされることは避けたいからね。

自分たちが何をやらかしているから嫌われるのかという自覚もなく、その程度のこともできない/しない上に、「表現の自由を守れ」だから、いっぺん弾圧されてこい、という話になる訳です。この国の官憲は糞だから弾圧は御免、は、圧倒的な正論ではあるでしょうが、擁護の対象が、恥も知らない知恵もないではどうしようもない。更に、女性としての立場から言うなら、諸外国で実施されているレベルの規制は平均的な行政サービスであり、何故この糞国家に住んでいると、そうした文明国平均程度のサービスも享受できないのか、という当然の疑問が出て来るでしょう——お国が何を狙っているのか、などとは全く別の理由でね。そうしたサービスを諦めろと言うなら、諦めるだけの理由と見返りは具体的に提示される必要がある。お国が表現を弾圧するよお、みんな殺されちゃうよお、怖いよお、などという、クスリやりすぎて壊れたヒッピーの妄想みたいな話には、正直な話、私は付き合えないのです。おおよそ、いかなる意味でも、リベラルの人ではないのでね。

*   *   *

ワタナベさんの続きです。

差出人: ワタナベ

件名: 規制問題について、最後の質問

日時: 18 juin 2009 06:54:35 HNJ

ワタナベです。早速の返答ありがとうございます。経済効果というのは説得力を感じました。

GTA4が、よりリアルで生々しい描写になっているにも関わらず、前作で入っていた

規制が一切なく国内版が発売されたのは、そのせいだったのかもしれません。

だったら、SAも規制なし版を出せよ、と言いたいところですが、

そこが「お上のいい加減さ」というやつなんでしょうか。それくらいは我慢しろ、と。


最後にひとつ質問なのですが、今回は陵辱「ゲーム」が差し当たり規制の対象

になるようですが、小説、漫画及び同人誌などでもエロだけを目的とした

作品は多く見受けられるようです。中には今回話題となった

当該の拉致監禁強姦ゲームより陰惨とも言える内容を持った小説、漫画、同人誌も

あるようですが、これらについて大蟻食様はどのように考えられますか?

ゲームとはやはり何かが決定的に違うのでしょうか。

GTA規制の経済効果の話、というのはよく飲み込めないのですが、SAにおける女衒ミッションのカットが殆ど意味不明であったことは確かです。まあ道徳的ではない、ということでしょうが、よその家からテレビを盗んでくるミッションに比べてどの程度不道徳であったのかは、ノーカット版をやっていないので分かりません。ただ、それで懲りたので、GTA4からは北米版でやっています。国内での流通が一切断たれても(たぶんRockstarはそういうことがないよう頑張ってくれるでしょうし、作品としてはますます良くなるでしょうから)何らかの形で入手を試みることは間違いありません。単純所持禁止を食らっても平然とやるでしょうね。法廷に引張り出されたら、これはMoMA級のアートだぞ、その芸術性が何故お前らには分からん、と平気でぶつでしょう。そのくらいの値打ちは十分にある。

あと、規制の一貫性について言うなら、GTA4には女衒ミッションのようなお下劣ミッションはなかったから、という理由だろうと思います(お下劣だったりお馬鹿だったりするのがSAの良さではある訳ですが)。この国の規制が暴力に対して緩いのは事実です。まあ「お上」はいい加減であるに越したことはありません。どうしてもということなら、輸入版を手に入れることです——国内の規制なんか屁でもない、ということを示す為に。

規制の対象についてですが、最終的にはアニメ・漫画も対象にされるだろうと考えています。小説は輸出品ではないので入らないだけでしょう。同人の規制は、実際の規模がどれくらいであっても、内輪なので無問題であるべき、というのが私の立場です。というか、公私の別の尊重という点から、同人規制には積極的に反対です。ただし同人であっても一般書店に並ぶという状況を考えた場合、規制の可能性は常にあるし、用心はした方がいいとは思います。

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