『崖の上のポニョ』を見てきた。過不足なく楽しめる。勿論、例によってストーリーが取って付けたようであるとか、そういう面に拘る方には色々言うことがありそうではあるが、嵐の場面はやはり素敵であり(出ました、ディザスターの帝王宮崎!)、何よりマグロ様の波頭の上を小さな女の子がてけてけ走る、あの走りだけで私は満足である。まあ、最盛期の宮崎ならそこのところでもっとわくわくさせてくれたに違いないのだが、それでも同じだけのことをやってくれる映像作家は他にいないのではないかと思われる。
しかし映像の人は最終的にはリュミエール兄弟の原始状態の映画みたいなところに行き着いてしまうものなのか。スクリーン上でものが動くこと自体の魅惑、というか。
一つ難癖を付けるなら音楽であろう。ほとんどの場面でさしてレベルの高くない劇伴がだらだら流れ続けるのにはちょっとうんざりした。もっと映像を信じ切っていいのではなかろうか。特に例の、波の上を走るくだりにワルキューレの騎行紛いが延々と流れるのにはうんざりだ。嵐の音だけで充分ではないのか。一方、主題歌は極めて秀逸であった——終って出る時に、ある年齢以下の子供たちが口々に、ぽにょぽにょ歌っていて感心した。大人だって分別がなければ歌いたかったであろう。覚えやすいと言うか何と言うかねえ。私もまだ覚えてるよ。
