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12/07/2007

夏休みだから、というので、フリッツ・ラングのクリティカル・エディションに手を出す。中に入っていた小冊子を見て些か呆然としたのだが、『ニーベルンゲン』も『メトロポリス』も、この復元〔を試みた)版が出るまで、ずたずたの短縮版から更に痛んだコマを切ったりなんだりしたバージョンでしか見ていなかったのだ。それどころか全長版を見たことのある人自体、同時代人まで含めても結構少ない、という事態らしい。短縮版での公開の方が一般的だったとか。おかげで、クリティカル・エディションと銘打ってはいるものの、この版も必ずしも完全ではない。

と言う訳で『ニーベルンゲン』だ。いや、これはもう全然別物ですね。凄いすごい。一昨日と今日とに分けて一部と二部を見た訳だが、はっきり言おう、私は今まで『ニーベルンゲン』を見たことがなかった。それくらい違います。もうね、フィルムに籠った気迫が違う。カットの粘りが違う。ワーグナーかおい、と言いたくなるような長いながい台詞を、まっすぐ立った登場人物が精々腕を動かすくらいで(ヴィーラント様式って言ったら想像できる?)ぱくぱく喋り続けると言う、常識的に考えたらもう我慢できません、寝ます、な場面が延々と続き、どう考えても喋ったことの数パーセントに過ぎない字幕がちょこっと出て、え、それだけ? と思っちゃうんだが、ただまあ非常識な緊迫感で寝るどころではないのである。いやこれ、監督も凄いけど、役者も凄いわ。特に凄いのはクリームヒルト役のマルガレーテ・ショーン。第二部後半の殆ど、ただもう突っ立ったまんま殺戮を眺め続けるんだけど(ビザンツの皇妃みたいな衣裳が、否が応でも、非人間的な突っ立ったまんま感を強調する)、うわあ何て声だよ信じらんない、なブリュンヒルデ並みに、こっちの目を(この場合はね)引き付けて見入らせるのだ。凄い顔だ。メイクも恐ろしいし、黒い目張りで強調した色の薄い目をぎらぎら光らせる撮影も凄い訳だが、やっぱ一番凄いのは、顔以外の全てを黒い布と金属で覆って、怨念の塊を演じるこの女優だという気がする。

こういうのを見るとほんとに幸せである。ところで少々気になってきたんだが、前にやはりビデオで見て、え、こんななの、と思った『カビリア』、あれにも復元版があった筈だ。無声映画でもラングはやっぱり多少以上に大胆なので、必ずしも同じことが言える訳ではないかもしれないんだが、復元版で見たら感服するしかない傑作だったりしないだろうか。

明日は『メトロポリス』を見る予定。これまたずたずたの版でしか見ていないから(で、ちっとも感心しなかった)、今から楽しみだ。

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Notifié: 17/07/2007 13:47

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