筑摩書房の皆様

御社のとある出版物における誹謗・中傷・事実誤認について

時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。

御社で出版された書籍『現代文学論争』(小谷野敦著)に含まれる、私、佐藤亜紀についての記載を目にした時の驚きは筆舌に尽くしがたいものがあります。客観的な知識を提供する書籍であるかのように思われる題名でありながら、悪意ある視点から書き起こされた誹謗、中傷、事実誤認が全体の三分の一を占める状態にあったからです。

御社の出版の学術的・文学的水準の高さを思う時、その出版社名でこのような記述を含む出版物が出され、流通するのは、単に私個人を傷付けるだけではなく、御社の評価そのものを傷付けることになるのではないかと案じられます。

記事について小谷野敦氏当人および担当編集者山野浩一氏との話し合いを行った結果、むしろ問題はこのような記事を通してしまった御社校閲ならびに法務の一時的な基準の緩みにあると考えるに至りました。つきましては、是非、御社の高い社会的評価と文化貢献を鑑み、即刻、以下に挙げる箇所の訂正および削除をご検討下さい。


1.  p.334 悪意ある仄めかし
「筒井康隆の恩顧を被っていたらしく思われるが」
 

もし悪意はない記述だというのでしたら、以下のように書き換えるのが正確でしょう。

「ASAHI-NET で筒井康隆ら作家数人とともにネット活動をしていたが」
 
2.  p.334 事実誤認・歪曲
「ほぼ同時期に、自作長篇「鏡の影」が絶版になったのを契機として」
 これは「『バルタザールの遍歴』絶版のお知らせ」 のことと思われますが、up されたのは2000年3月17日であって、「ほぼ同時期」ではありません。
以下のように書き換えるのが適切でしょう。

「自作長篇『鏡の影』が絶版になった一年以上後の2000年3月、」*
 
3.  p.334 小谷野氏自身による解釈の修正
「しかし二作は(中略)という程度の類似性しか持っていない」
 現在では小谷野氏は二つの作品について「しかし自作と似た構造のものが A賞をとって大騒ぎ、自著は絶版ということが重なれば被害妄想に陥るのも、理解できる」と言っておられます。

 全面削除をお願いいたします。
 

4.  p.335 事実に反する内容
「佐藤もここでは『盗作』だとは主張していない」

 盗作だと主張したことは一度もありません。削除して下さい。

5.  p.335 事実に反する内容
「平野は沈黙を守ったが」

 2006年9月15日、平野氏はブログで反論しています。 削除すべきでしょう。

 
6.   p.335 精神疾患に対する差別
「ここに『被害妄想三人組』とも言うべきグループが成立するが」
 こうした内容に具体的な症状の名を引き合いに出すことは、精神疾患を患う人々を嘲笑するのも同然です。これには本当に驚きました。御社の社会的信頼を鑑みて、削除すべきです。

 


 
 御社の益々のご繁栄をお祈りしております。


* 2010.3.2 修正させていただきました。
  元の文章は「2000年3月、自作長篇『鏡の影』が絶版になったのを契機として」
 

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